病を水に流せるか?

利き手でない左手の機能向上に
努めている。
左手をもっと繊細にしたい。
まあ主に楽器演奏が目的だが…

石川さんは79歳の男性。
趣味は渓流釣り、麻雀、水墨画
晩酌も毎日する。

若い頃は会社を経営していた。
イケイケだったそうだ。
徹夜麻雀を3日続けたこともある。
毎日ウイスキーはボトル1本。

本人いわく
「滅茶苦茶してましたよ」

そんな生活が影響したのか。
50代のときに脳卒中を発症した。
右半身の麻痺は今も強く残っている。

バリバリやっていた人ほど
自暴自棄になる。
しかし、石川さんは逆だった。
「まあしゃあない」
と開き直った。

クヨクヨする、という言葉は
石川さんの辞書にはない。

渓流釣りは奥さんが同行し、
餌つけ係を担当している。
最初は虫が苦手だった奥さん。
今は、ミミズもゴカイも楽勝だ。

「卒中やったお陰でむしろ、
前より色々やってません?」
「そうかもしれませんね」
ガハハと笑う石川さん。

済んだことは忘れる。
病も水に流す。
はい次、はい次。
川の流れのように…

へこたれない患者さんから
学ぶことは無限だ。

オカルト?ちゃうちゃう

行動や習慣を変えたい。
そう思っている人は多い。

本屋に行けばよくわかる。
そういうよく本が売れている。

変わろうという決意はあるのだ。
決意が持続しないのだ。

なぜか?
意志の弱さ?
では意志って何?

これまた抽象的な言葉だ。
決意とよく似た言葉を使って
説明しても意味はない。

決意を忘れるからではないか?
忘れても人生は送れるからだ。
当然だ。
決意する前も人生を送れていた。
現状を持続する意志は強いと
言えなくもない。

決意を忘れないことが大切だ。
忘れない工夫の一例を紹介する。

生活習慣病の患者さんのケース。
習慣を変えないと治らない。
(変えずに薬だけ飲む人もいるが…)

たとえば
「お腹がへこまないんですよ」
という患者さんがいる。

忘れない環境づくりが必要だ。

ジムに通う?
ランニングする?
間食しない?
食べすぎない?

全部ムリに決まっている。
良い習慣とは何か、は皆知っている。
できないから医者に来ているのだ!

うちのやり方はこうだ。
「へこむようにしてあげます」
と言って、お腹を触る。
そして念を送る(←大事)。

真剣な顔で
「へこむ念を送っておきました」
これでOK。

ホントに効くのだ。

なぜか?
医者にお腹を触られて念を送られた。
それは記憶に残るからだ。
そう簡単に忘れられない
非日常経験だからだ。

自分のお腹を触る度に思い出す。
(主治医に念を送られたお腹だ!)

主治医との約束を守りたい
患者にはとてもよく効く。

ご利益が欲しい人!
触ってあげますよ♡

弱肉強食

早い話が
何事もバランスが大切だ
という話だ。

山本さんが不眠を訴えた。

「何が原因?」

「実は…最近ネズミが出るんです」

 

子供を産んだらしく、増えているそうだ。

ネズミ算式に…

山本さんの都営団地に入居している。

他の部屋でも出没が問題になっている。

「都にお願いしたら?」
大がかりな知恵が必要だろう。
都に対策してもらうよう助言した。

話は変わる。

磯崎さんは捨てネコを育てている。
メディアでも有名なグループの一員だ。

他の患者さんも大勢属している。

彼女たちの奮闘には頭が下がる。
引っかかれたり噛まれたり…

感染症で瀕死になった人もいる。

グループの決死の社会貢献のお陰で

捨てネコが激減した。

皮肉なことに…

ネズミが増える原因になっている。

難しいところだ。

磯崎さんいわく

「みんなネコの方が嫌いでしょ」

 

そんなことはないが、被害への

苦情が多いのは事実だ。

ネコが減ると、ネズミが増える。
両立は難しい。
バランスが大切だと感じる。

磯崎さんの本業は絵かきだ。

「描いてますか?」

「猫の世話で大変なのよ、時間がない」

猫の手も借りたいほど忙しいそうだ。
全然貸してくれないそうだが…

両立は難しいようだ。