出血大サービス

トウモロコシ1本158円
3本なら450円

気持ちだけ安くなるシステムだ。
しっかり者の妻は1本だけ購入。

こういうマーケティングにつられない。

そこをオジサンが通りかかった。
60代後半か。
買い物かごの内容が独居のそれだ。

終始ムスッとしている。

(おっちゃん、血圧に良うないで…)

心の中で職業が顔を出す。

オジサンはトウモロコシ3本をかごに。

娘(4歳)はそれを見逃さなかった。

「たっくさん買うねえ!好きだねえ!」

最近流行っている落語口調で呟いた。

照れたオジサンは吹き出した。

笑顔の健康への効果は計り知れない。

オジサンの寿命は延びたにちがいない。

帰りのエレベーターでオジサンに再会。

「もう、また会ったじゃない!」
とオジサンの肩を叩く娘。
さらに屈託ない顔で笑うオジサン。

早期ガンなら治りそうな笑顔だ。

確実に下町っ子に育っている娘。
ヘタな医者より健康に貢献してる。

やる気あるのか?

早い話が
「やる気」は意識されるものではない
ということだ。

「最近やる気が出ないんです」
丸谷さん(69歳)の母が入所した。
介護から解放され、発した言葉だ。
「やる気が出ない」

外来に限らず、一般でも耳にする言葉だ。

それって「やる気」あるのでは?

「やる気が出ない」
という言葉を発しているとき、実は

「やる気」はきちんと発生しているのだ。

???

と感じたのでは?

「やる気」を定義してみる。
「やる気」イコール「モチベーション」
多分異論はないだろう。
「モチベーション」を定義する。

前出の丸谷さんの場合。
「何もしない」が快適領域なのだ。

だから「やる気」は機能している。

多くの人が「やる気」を誤用している。

それを「やる気」があると思っている。

それは多分「働きアリ洗脳」だ。
躾や教育で身につけさせられたことだ。
「嫌なコト」は本来やりたくないはずだ。
逆に、誰かに嫌なコトをやらせるとき。
「やる気を出せ!」

躾けられたのだ。

その上、快適領域まで設定される。

「嬉しさ」「楽しさ」まで決めらる。
これを、この辺まで嬉しがっていいよ。
これを、この辺まで楽しんでいいよ。
あったはずの快適領域が消滅したのだ。
それなりに「嫌なコト」をしている状態。
それが新たな「快適領域」になったのだ。
そして奴隷生活が始まる…

丸谷さんは3人姉妹の二女。
幼少時から「バランサー」だったそうだ。
大人になっても我慢の連続だった。

弊害は血圧と過食に反映されている…

「もうそろそろ好き勝手したら?
そんなに残り時間ないですよ」

自分に嘘をつかず、「快」に忠実に。

丸谷さんにできるかどうか?
知らん。
「やる気」が発動しているとき。
それは意識されない。
意識されるなら、とてもあやしい。
頑張っている可能性がある。
正直に興味あるもの、好奇心の対象に
向かう最後のチャンスかもしれない。