さらば、神よ


「お父ちゃんだけズルい!」
娘に叱られた。
本屋の袋が見つかってしまった。
ちゃんと『おしり探偵8巻』も
買ってあったのだが・・・

目に止まった本をランダムに
片っ端から10~20冊買う。
そういう買い方をしているから
自宅に帰って驚くことがある。

自分はこんなことに興味があるのか!

なるべく広く、偏見を入れずに
それなりに売れている著書を
買おうと心がけているつもりだが。

経済が落ちると信者が減るそうだ。
日本では特にその傾向が顕著らしい。
世界でもほぼその傾向なのだが、
例外はイスラム教だけだ。
イスラムは欧米で信者を増やしている。

宗教はコロナに対してほぼ無力どころか
各地で集団感染を引き起こした。
科学的思考こそが最も重要だった。


日本人は特定の宗教観がある国ではない。
しかし、科学的思考が行き渡っているとは
到底思えない。

今回のコロナ問題で言えば、やはり
ダイヤモンド船のデータを
どう取り扱うかに尽きたと思う。


712人が感染し、13人が死亡した。
致死率は1.9%だ。
半数以上が無症状であったことも
重要なデータだ。

不幸な実験室であったが、科学者は
このデータを正しく取り扱うべきだった。
現在の日本の状況は概ね同様の
結果になっている。

前職の医院で発熱外来を導入する際に
スタッフを説得する根拠になったのが
クルーズ船のデータだった。
毎朝サイエンスの大切さを話し、
冷静さを保つよう心がけた。

自称敬虔なクリスチャンで仏教徒だが、
八百万の神も大切にしている。
宗教は生き方の指針だが、古い。

要は何でも「使い方」だ!

先人の犠牲を無駄にしない。
そうして医学や科学は発展し、
人々は生き延びてきた。
今回の騒動で飛び交う言説の数々。
日本のサイエンスは大丈夫か?

恐怖とは?思考停止とは?
コロナ禍は考えるきっかけを与えてくれた。


少なくとも危機的状況を回避するのに
サイエンスは宗教より役立ちそうだ。
それは間違いない。

信教の自由を侵害するつもりはないので
あしからず。

さよなら


「今月いっぱいで辞めるんですよ」
「あら残念。せっかく慣れてきたのに」
と残念がってくれる佐々さん87歳。

12年間定期的に受診しているのだが・・・

「今月もっかい来るわ」
不要不急の受診を宣言する患者さんも
たくさんいる。

涙を流す患者さんもいる。
(この人が泣くの?)
ドライなタイプだと思っていた人に
案外泣かれる。

逆に熱いタイプと思っていた人が
「次の先生、どんな人?」
と「別れたら次の人」タイプだったり、
それも面白い。

小声で
「次決まったら連絡して」
と名刺を渡されることも。

一般外来も発熱外来も盛況だ。
発熱外来を始めた当初、風評被害も
あった。
スタッフだけでなく、患者さんも
訓練された。


去っていくリーダーにも関わらず
士気が下がることなく一生懸命
やってくれるスタッフには頭が下がる。

発するすべての言葉を「遺書」のように、
「遺言」のように大切にしていこう。

祝!コロナ陽性!


「発熱患者を診てくれないんですよ」
看護師から軽く苦情がきた。
自分が在宅診療で廻っている間に
パートで来ている女医さんだ。

パート先で感染リスクを背負いたくない。
大学からもパート先で感染しないよう
指導されているから仕方がない。

雇用契約は昨年末。
コロナ蔓延は勤務が始まってからだ。
気持ちはわかる。
しかし、当院は「コロナ疑い」を
診察すると決めてしまった。

朝のミーティングで不意打ち気味に
女医さんに言った。

「先生、診てもらえない?
ちゃんと防護衣着てね。何かあったら
僕がフォローするから」


女医さんの顔は強ばっていた。
スネられるて辞められる可能性もある。
あきらかに不本意な表情のまま
女医さんはうなずいた。

そして翌々週彼女は引いた・・・

たった数例しか診察しないうちに
コロナ陽性患者を。
こっちは何十例診ているがなかなか
出くわさない。

翌週女医さんに結果を伝えた。

「おめでとう!陽性やったわ」
「ホントですか!?」
「なかなか当り引かへんで!
病初期を診ている医者は少ないで。
この経験は大きいよ、おめでとう!」


女医さんは喜びで上気していた。
これでこそ医者だ!
女医さんは一皮むけた。
若い患者は順調に回復している。
万事良好だ。

患者を診ないことには学べない。
不謹慎かも知れないが、医師の
経験はすべて患者さんのためだ。

手ぐすね引いて待ってる医師には
なかなかコロナが来てくれないが・・・