令和の喫茶店


浅草で「雰囲気」な喫茶店に入った。
座った途端に店員がかけ寄って来た。
直ちに、非接触型体温計をオデコへ。

「ピッ」
37.5度だった・・・


顔色が変わる店員。

「ちょっと待って」
と余裕を見せつつ、冷たいおしほりで
広いおでこを拭く。

「もっかい測って」
「あピッ」
36.5度


安堵の表情を浮かべた店員は
「さすがです」
と意味不明の言葉を発した。

非接触型は顔の温度が上昇しにくい
人の場合、アテにならない。
逆に暑い中を歩いてきて、発汗が
少ない段階なら上がってしまう。
汗による「打ち水」効果がない
ままだからだ。


涼しいタクシーを降りて、5分ほど
炎天下を歩いたところだった。
最も高く出る状況だったと思われる。

この検温に意味があるのか?
まあ「やってる感」を出さないと
いけないし、やむを得ない。

入店時に検温され、タバコを
吸わさない喫茶店。

それが「令和時代の喫茶店」の
ニューノーマルなのだろう。

コロナタクシー


高岡さん(58歳)はタクシー乗務員。
コロナ禍で客は激減した。
台東区は観光客の多い街だ。
外国人が消えたことは致命的だ。

「体調はどう?」
「こないだ喉が痛かった。
ヤバいかな?と思った」
「それはコロナやね」
「エッ?」
「多分違うけど。わからん」


不謹慎な臨床だが、嘘ではない。
勘違いを正すための荒療治だ。

ヤバいかヤバくないかは
コロナとは無関係だ。
コロナがヤバいのではない。
ヤバい「症状」があるだけだ。

「呼吸困難」がそれだ。

コロナでなくても呼吸困難はヤバい。
「喉が痛い」で終われば、コロナで
あろうが何であろうが普通のことだ。
要するに「重症度」が問題なのだ。

8割が無症状か軽症で治る感染症に
無用な心配は邪魔な感情だ。
年寄りにうつさない。
それだけに注意を払った方がいい。

若者は自分の心配をしてはいけない。
わざわざ感染する必要はないが・・・
自分のためでなく世のためだ。
少しくらい社会貢献してもいい。

この程度の感染症に自分の体の心配を
している人が運転手をしてはいけない。
コロナで死んだのは1000人弱。
交通事故で1500人死んでるのだから・・・

伝説のママ@浅草

午前受付終了間際…

今日もホロ酔いで来院した右柳さん。
浅草で息子とスナックを経営している。

御年79歳!

「おとといなんて店閉めたの12時よ」
夜中ではない、昼の12時だ!

異常に元気なママだ。
お店をオープンして30年。

年中無休が自慢だ。

「先生、”うつ”なの。助けて」

が口ぐせだ。

「そう…可哀想に…
宝くじで100万円当たったら?」
「そしたらもちろん治るわよ」
「そんなん「うつ」と違います」

とお約束のやり取りをして診療開始。

「昨日はお茶ひいたのよ」

客が「ゼロ」という意味だ。
ため息をつきながらの険しい表情。
忙しいと、右柳さんのうつは治る。

大変わかりやすい。

タバコを止める決意をした。
飴を舐めることにした。
飴舐めながらタバコを吸ってしまう。

禁煙は失敗に終わった。

右柳さんはビールが大好きだ。
「レッドアイ」はもっと好きだ。
ビールとトマトジュースのカクテルだ。

「レッドアイはデルモンテに限るわよ」

タメになる…

右柳さんは最近太り気味だ。
本人によると
「うどん食べ過ぎてるせいよ」

だそうだ。

「香川県出身よね?やっぱり
うどんにはうるさいでしょ?」
「最近どこのうどんも美味しいわよ。
世の中美味しいもんばっかりよ」

こんな調子だ。

飴とうどんが肥満の原因なのだろう。

孫の結婚式に列席した。
孫は教師、新郎は公務員だ。
「みんなマジメで肩凝ったわよ。

あんなマジメな結婚式初めてよ」

土地柄、本職の人も多いらしい。
右柳さんも不良をマジメにやっている。

「お孫さん素晴らしいじゃない!」
右柳さんは満更ではない表情になる。

孫を褒められて嬉しくないはずがない。

「身体はうちに任せて仕事に専念して。
お互い死ぬまで仕事しましょうね」

毎回右柳さんにそう伝え、診療終了。

医療もスナックも接客業だ。
これほど勉強になる患者さんはいない。
やはり「不良」はしぶとく生き延びる。

みんなもっと「不良」を勉強すべきだ。

(写真と本文は関係ありません)