最強の口ぐせ

「かえって良かった」

最強の口ぐせである。
この口ぐせを持っていない人は

ヤバい。

この言葉をひとたび発する。
どんな悲劇の最中でも
脳が辻褄を合わせる理由を勝手に

探してくれるのだ。

人は出来事を「物語」でしか
記憶できない。
そしてその物語の流れには好みの

傾向があるそうだ。

万人ウケする「型」があり、それは
ハリウッドも使いまくっている。

困難を克服するストーリーだ。

悲嘆にくれる状況にあるときほど
「かえって良かった」が効く。

逆に、それしかない。

恐竜は絶滅した。
恐竜にとっては悲劇だが、人間に
とっては「かえって良かった」

今日、人間がこの世にいるのは、
「かえって良かった」と口ずさんだ

恐竜のお陰かもしれない。

外来は今日もブルースだらけ。
次々に来る患者さんに
「かえって良かった」

というのはとても勇気がいる。

だけど、その都度何らかの
理屈が思いつくのに我ながら驚く。

一休さんさながらに…

それは自分の実力なのではなく、
人類がみな持っているDNAであり、

稽古の賜物だと知っている。

誤解のないように言っておく。
「怖がるな」「悲しむな」とは
全く違う。
恐怖や悲哀の感情は本能だ。

本能を失うと死期が早まる。

「で、その次」の言葉、それが

「かえって良かった」だ。

そんな言葉ごときでは絶対に無理!

たとえそう言われても
「かえって良かった」
で絶対に返せるようになる。

スリル中毒

電車に乗るのが怖い。
途中で降りてしまう。
仕事に行けない日が続く。

そういう悩みが続いた。
二人とも40代既婚男性。

簡単に「うつ病」に逃げたくはない。
そうだとしても、初期なので
それなりに助言をした。

「おばけ怖い?」
「はい?」
「子供っておばけ怖がるよね?
まだおばけ怖い?」
「それと一緒ってことですか?」

違うかもしれない、それとは。
だけど克服しなければならない。

仕事行かなきゃ。でしょ?

「怖い」と発するとアホになる。
前頭葉が機能しなくなるからだ。
但し、ゴチャゴチャ考えずに
逃げるのが必要な状況もある。
「怖い」を失うと早死にする。
「怖い」は必要な「本能」なのだ。

だから、よく考えるべきだ。
「怖い」が適切かどうか?
おばけがいるのかどうか?

克服しなければならないことは
人生に多々ある。
そしてたくさん克服してきたはず。
自転車に乗る、に始まり、人前で
発表したり、危険な目に遭ったり、
子供が産まれたり…

出産する女性も絶対に「怖い」はず。
でも逃げられないし、克服する。

「電車が怖い」は幻想だ。
「怖い」という言葉さえいらない。
自分で作った妄想は自己責任。
幻想は「娯楽」にすべきだ。
毎日がジェットコースターだ。
かなりの高確率で「無事」が
保証されているのだから。

毎日チャレンジするのも悪くない。
記憶に残る日々を送れるはず。

心療内科ではないのでこの辺で…