Like A Rolling “Stone Free”

早い話が
灯台の下は暗いけど、隣の芝は青く見える
ということだ。

「田舎がある人はいいなあ」
木元さん(84歳女性)はもらした。
木元さんは東京生まれ東京育ち。

GWどこへも出かけなかったらしい。

世界住みたい都市ランキング。
東京は7位である(ちなみに3位は大阪)。
世界中の人が住みたい場所だ。
生まれ育った人にはわからない。

ありがたみがないのだ。

元木さんは自転車圏内しか移動しない。
東京タワーに上ったことがないし、
六本木にも新宿にも行かない。
多分田舎に生まれていても同じだろう。

田舎から出なければ故郷は存在しない。

移住すれば「うらやましい」は消える。
定住者だけがうらやましがるのだ。
実際、同級生に
「東京ええなあ」
とよく言われる。
「住めばええやん」

移住する人は、まずいない。

「同じ場所に留まり、うらやむこと」

多くの人にとってそれが「快適」なのだ。

ちなみに「快適」は “comfort” と訳される。
“comfort” とは
“com(完全な)・fort(力)”
つまり「完全な力を出せる状態」だ。
ホームでは完全に力を発揮できる。
アウェイでは力が出せない。
日本語の「快適」は「受け身」な印象だ。

お山の大将でいることは快適か?
「内弁慶」は幼稚臭い。
”Rolling Stone” になると決めた。
宇宙は広い。
飽きたらすぐに移動だ。

愛用の傘です

ボストンから来客があった。
帰る時間になった。
外へ出ると雨だ。
傘を貸そうとした。
「大丈夫、これくらいなら濡れていく」

雨の日に傘を差す。
日本では当たり前の光景だ。
だが、外国ではあまり見たことがない。
アメリカでもアフリカでもインドでも。

みな、平気で濡れていた気がする…

32歳の男性が来院した。
「とにかく疲れているんです」
言葉に違和感をおぼえた。
風体に「力み」がないのだ。
診療所に来るこの年代では珍しい。
「仕事何してるんですか?」

「傘職人なんです」

 

なるほど。
職人ならではの力の「ヌケ」具合だ。
でも疲労困憊している。
職人がたて続けて辞めた、とのこと。

負担を一身に引き受けている。

さすがは職人の町。

普段出会わない職人さんと会える。
傘の見方が変わる。

単なる傘の機能に職人の存在が加わる。

石森さんは88歳の女性だ。
雨の日に来院してきた。
「傘差すのが好きなんです」
「さぞかし素敵な傘をお持ちで?」
「人と話さなくていいでしょ?

だからさっさと歩けるじゃない!」

全然的外れだった…

ある意味、これも下町ならでは、だ。

みなおしゃべり好きだから足止めを食う。

高温多湿の日本の気候。
自然現象には逆らえない。
「あ~あ、雨だ」
と落胆するより
「めぐみの雨じゃ。濡れて参ろう」
でいきたいところだ。

孫をたずねて4000 Km

早い話が
高齢者も確実に進化している
ということだ。

北海道から5歳の孫を連れてきた。
青森まで車で走り、フェリーで函館へ。
レンタカーで札幌まで行き、孫を拾う。
そして再び函館までレンタカー。
フェリーで青森、自ら運転し東京へ。

感服した…

そして一週間後、孫を送り届けた。
再び北海道まで車とフェリーで!
つまり北海道まで二往復したわけだ!

日本のお婆ちゃんはここまで進化した!

実は、これは父親から聴いた話だ。
このお婆ちゃんの!
お婆ちゃんは平日のお昼は仕事だ。

その間、ひい爺ちゃんが孫を預かった。

「そんなお婆ちゃんの父親になると思ってました?」

亀山さん(85歳)は大笑いした。

亀山さんは16から仕事をしている。
今も現役バリバリだ。
毎回インクまみれのオーバーオールで受診する。
仕事の汚れは名誉の汚れ。

全然汚く見えない。むしろ尊い!

ぶっ飛んでる親子だ。

この父親にしてこの娘なのだろう。