丁稚卒業


新しい人生がいよいよ始まる。
純粋にプレイヤーをさせてくれた
前職には感謝している。
給料を与え続けてくれた。
(増えなかったが・・・)

辞めてみて自分の甘さにも気づいた。
師匠である日野晃先生は
「12年間、丁稚やったと思えばいい」
という言葉をくれた。

記憶に残る「今日」になると思う。
いや、残りの人生全部
記憶に残る一日にしよう。


新たな課題を自分に与えることにした。

世の中の全仕事に対して傍観者になるな!

コロナ禍でよくわかった。
どこかの国で感染を収束させるには、
世界中同時に収束するしかないのだ。

世界中の全仕事のおかげで
世界は成り立っている。

24時間365日意識し続けるのは
簡単ではないかもしれない。
でも、そう決めた。

備忘録として残しておく。

相手がいるから一人になれる

早い話が
モノが安すぎるのはおかしい
ということだ。

「相手がいるから一人になれる」

どこで読んだが忘れたが、
記憶に刻まれる言葉だった。

関係性の中でしか人は存在しない。
相手を認識して初めて
自己を知ることができる。
そんな風に解釈している。

他者がいなければ自分を
考察することは不可能だ。
他者の中にしか自己は存在しない
のだから、職業を持つ必要がある。

だれかの役に立たないといけない。
誰もが他者の仕事の成果に
囲まれて生きているのだから。

消費活動をするときも、
誰の役に立っているか
考えながらやった方がいい。
安さだけで選ばなくなるはず。

安い理由を考えるのも一人では
できないということだ。

それ、迷惑ですよ

早い話が
世界は誰かの仕事でできている
ということだ。

田島さん(74歳、女性)はホテルの

メイドをしている。

ブラック(?)ホテルのようだ。

あきらかに「こき使われて」いる。

先日は、台風の影響で田島さんしか
仕事に来れなかった。
「大江戸線は走ってたのよ」 

なんと一人で3棟のホテル20部屋を 

“made” したそうだ。

田島さんの仕事を知ってから、
ホテルでの過ごし方が変わった。

掃除する田島さんの姿を

思い浮かべるようになった。

ベッドを元の状態に戻して退室する。

誇らしげに田中さんにそう伝えた。

「それ一番迷惑なのよねえ」

どうせ回収するからそのままの
方がいい、らしい…
むしろ手間になるそうだ。
聞いておいてよかった。

これから気をつけよう。

田島さんの見た目は年齢より若い。
仕事で身体を動かしてきたお陰
かもしれない。
生活習慣病も落ち着いている。

いわば、労働の「副作用」だ。

膝や腰は、やはり痛い…
「74年間働きっぱなしでしょ?」
「息子に言われたの。

身体ボロボロじゃんって」

じゃあ、お前が全部面倒みろ!

と言いたい気持ちをグッと堪えた。

子供が、親に対して「他人事」
のような物言いをする。
決して少なくない。

正直、気持ちの良い話ではない。

高齢者の労働は増え続けるだろう。

「快適」の背後にいる高齢者たち。

「ちゃんと見てくれてますよ。

ええ席用意してくれてるはず」

天を指差してそう伝えるのが
精一杯だった。
田島さんは笑ってくれた。