病を水に流せるか?

利き手でない左手の機能向上に
努めている。
左手をもっと繊細にしたい。
まあ主に楽器演奏が目的だが…

石川さんは79歳の男性。
趣味は渓流釣り、麻雀、水墨画
晩酌も毎日する。

若い頃は会社を経営していた。
イケイケだったそうだ。
徹夜麻雀を3日続けたこともある。
毎日ウイスキーはボトル1本。

本人いわく
「滅茶苦茶してましたよ」

そんな生活が影響したのか。
50代のときに脳卒中を発症した。
右半身の麻痺は今も強く残っている。

バリバリやっていた人ほど
自暴自棄になる。
しかし、石川さんは逆だった。
「まあしゃあない」
と開き直った。

クヨクヨする、という言葉は
石川さんの辞書にはない。

渓流釣りは奥さんが同行し、
餌つけ係を担当している。
最初は虫が苦手だった奥さん。
今は、ミミズもゴカイも楽勝だ。

「卒中やったお陰でむしろ、
前より色々やってません?」
「そうかもしれませんね」
ガハハと笑う石川さん。

済んだことは忘れる。
病も水に流す。
はい次、はい次。
川の流れのように…

へこたれない患者さんから
学ぶことは無限だ。

タケコプターとVR

早い話が
脳内のリアリティが「リアル」を作る
ということだ。

リハビリの世界でVR(仮想現実)が
活用され、かなり成果が出ているそうだ。
実際に動かしていると錯覚する。
それにより神経がつながるのだ。
「思い」が「身体」に届くということか。
当たり前のような気もするが…

まだ誰も見ていない世界を描く。
漫画家は得意だ。
それを読者が脳内でイメージする。
デフォルメしたマンガの世界。
なのに現実と錯覚する。
マンガの中の世界の住人になる。
主人公に感情移入し、ときに涙する…

よくよく考えればインクの染みだ。

人間はインクの染みに涙できる動物だ。

加瀬さんと川辺さんはともに90代女子。
二人とも足が悪いので往診している。
加瀬さんは朝から晩まで韓流ドラマ。
乙女に戻り、イケメンに恋している。
川辺さんは亡き夫と文通して過ごす。

「交際手紙」と書かれた箱に数百通ある。

要するにリアリティを感じた者勝ちだ。
VRに負けないリアリティを自前で作る。
リハビリ以外にも色々応用できそうだ。
「願いは叶う」とは断言できない。
でも、願わないものは叶わない。
それは断言できる。
空飛ぶ車が近々売り出されるそうだ。
「タケコプター」を大きく超えてきた。
「マンガやん!」もあなどれない。