出血大サービス

トウモロコシ1本158円
3本なら450円

気持ちだけ安くなるシステムだ。
しっかり者の妻は1本だけ購入。

こういうマーケティングにつられない。

そこをオジサンが通りかかった。
60代後半か。
買い物かごの内容が独居のそれだ。

終始ムスッとしている。

(おっちゃん、血圧に良うないで…)

心の中で職業が顔を出す。

オジサンはトウモロコシ3本をかごに。

娘(4歳)はそれを見逃さなかった。

「たっくさん買うねえ!好きだねえ!」

最近流行っている落語口調で呟いた。

照れたオジサンは吹き出した。

笑顔の健康への効果は計り知れない。

オジサンの寿命は延びたにちがいない。

帰りのエレベーターでオジサンに再会。

「もう、また会ったじゃない!」
とオジサンの肩を叩く娘。
さらに屈託ない顔で笑うオジサン。

早期ガンなら治りそうな笑顔だ。

確実に下町っ子に育っている娘。
ヘタな医者より健康に貢献してる。

伝説のママ@浅草

午前受付終了間際…

今日もホロ酔いで来院した右柳さん。
浅草で息子とスナックを経営している。

御年79歳!

「おとといなんて店閉めたの12時よ」
夜中ではない、昼の12時だ!

異常に元気なママだ。
お店をオープンして30年。

年中無休が自慢だ。

「先生、”うつ”なの。助けて」

が口ぐせだ。

「そう…可哀想に…
宝くじで100万円当たったら?」
「そしたらもちろん治るわよ」
「そんなん「うつ」と違います」

とお約束のやり取りをして診療開始。

「昨日はお茶ひいたのよ」

客が「ゼロ」という意味だ。
ため息をつきながらの険しい表情。
忙しいと、右柳さんのうつは治る。

大変わかりやすい。

タバコを止める決意をした。
飴を舐めることにした。
飴舐めながらタバコを吸ってしまう。

禁煙は失敗に終わった。

右柳さんはビールが大好きだ。
「レッドアイ」はもっと好きだ。
ビールとトマトジュースのカクテルだ。

「レッドアイはデルモンテに限るわよ」

タメになる…

右柳さんは最近太り気味だ。
本人によると
「うどん食べ過ぎてるせいよ」

だそうだ。

「香川県出身よね?やっぱり
うどんにはうるさいでしょ?」
「最近どこのうどんも美味しいわよ。
世の中美味しいもんばっかりよ」

こんな調子だ。

飴とうどんが肥満の原因なのだろう。

孫の結婚式に列席した。
孫は教師、新郎は公務員だ。
「みんなマジメで肩凝ったわよ。

あんなマジメな結婚式初めてよ」

土地柄、本職の人も多いらしい。
右柳さんも不良をマジメにやっている。

「お孫さん素晴らしいじゃない!」
右柳さんは満更ではない表情になる。

孫を褒められて嬉しくないはずがない。

「身体はうちに任せて仕事に専念して。
お互い死ぬまで仕事しましょうね」

毎回右柳さんにそう伝え、診療終了。

医療もスナックも接客業だ。
これほど勉強になる患者さんはいない。
やはり「不良」はしぶとく生き延びる。

みんなもっと「不良」を勉強すべきだ。

(写真と本文は関係ありません)

だれも言わない野球の話(その2)

南海ホークスの大ファンだった。

 

高校では甲子園を目指していた。
同期は新庄、元木、前田。

(海の向こうではペタジーニ)

大学時代も学生野球三昧だった。

野球を観なくなって数十年経つ。
管理されている選手ばかりで

面白くなくなったからだ。

昭和の「パ・リーグ」
教育上よろしくない選手しか

いなかった。懐かしい…

「あれどない思う?」

(下線をクリックして下さい)

超高校級投手が地区予選の決勝で
登板を回避した件だ。

将来ある子を潰してはいけない。
監督がエースを温存した根拠だ。

どんな将来?

プロ野球選手?

そんなの「部活」と関係ない。

エースはチームのリーダーだ。
自分を捨て、貢献する。
リーダーとはそういうものだ。
それは教育に値する。
だって部活なんでしょ?

超高校級投手は体躯、資質ともに
天の恵みだ。

野球能力の偏差値でいえば?

80を超えているかもしれない。
全体の0.135%以下だ。

だから少々無理をしてもいい。

偏差値80超は医学の想定外だ。
温存の効能は医学的に証明不能だ。

何度でも言う。
もともと野球なんて身体に悪い。

一試合追加で投げるのは誤差だ。

「本心は投げたかった」

選手の意思こそ尊重すべきだ。

だって「部活」なんでしょ?

高校野球ほど注目される部活はない。

ルールの複雑さと高いゲーム性。
プロ野球というビッグビジネス。
それが後ろに控えているから、
メディアも異常に肩入れする。

甲子園はさながら「品評会」だ。

野球少年の動機はシンプルだ。
カッコいい!オモロイ!
名選手を夢見て、苦痛に耐える。

「モテたい」「金持ちになりたい」
本人に下心があってもかまわない。
過程に「学び」が必ずあるから。

部活は学生が主役だ。

「甲子園で観たかった」
「将来の宝を潰すな」

どちらも部外者の勝手な希望にすぎない。

ふしだらな大人の希望が主役なら、
そんな部活はいらない。