ドキドキ学校検診


たまに医師会の依頼仕事を引き受ける。
先日、ある男女共学の進学校の
検診を依頼された。

20年ほど前に学校検診の仕事が入った。
高校時代憧れていたある女子校。
いくらプロだとかエラそうに言おうが
こちらは煩悩まみれの20代後半。
緊張しながら検診を開始した。

すぐに「幻滅」という言葉の
「実際」を知ることになる。

女子高生たちの態度の悪さたるや!

自分の高校時代も似たような
ものだったはずだ。
憧れの学校だっただけに、当時は
その客観性が持てなかった。

それから20年の時間が流れた。
男女共学だが、検診は男子のみ360人。
最近は女子生徒を男性医師が
検診することはないらしい。
気を遣わなくて済むので助かる。

真面目そうな学生ばかりだ。
みな態度もすこぶる良い。
ちゃんと並び、挨拶もできる。

世の中こんな良い子ばかりなのか!?

そんな中「慈遊(じゆう)」という
名前の生徒がいた。

「へえ、初めて見た名前やわ」
「ボクも他に知りません」
「めちゃエエ名前やな」
「でも友達にイジられます。
自由とは発音も違うのに!」

こだわる場所が高校生らしい。
彼は続けた。

「あと、変換が大変で」

この辺も最近の高校生ならでは、か。
彼に言ってあげた。

「有名になったらええねん。
『じゆう』って打ったら一番始めに
『慈遊』って変換されるように」
「はい!」


とさわやかな笑顔で退出して行った。

たかが検診といえども、
医者にかけられる言葉は大きい。
そんな風に接することにしている。

集客セミナー


駅の中心地から少し離れたビルの4階。
居酒屋をやるにはかなり不利だ。
しかもこのご時世に喫煙可だ!

しかしこの居酒屋を訪れるのは5回目。
行く度にお客が増えていく。

最初に行ったときはガラガラだった。
でも店員の元気さが気持ちよかった。
やや特殊なシステムで珍しいお酒が
安価で飲める。
食べ物はどれも素材も味もイイ。

こないだはほぼ満員だった。
忙しくても店員の気配りは変わらない。
ちょっとした会話も成り立つ。

「ダボシャツかっこいいね」
「店長がそれぞれに似合うものを
選んでくれるんです」


なるほど!
リーダーの教育だ!
「それぞれに」というのが、やる気を
出させているのかもしれない。


「あなたは私にとって貴重な人です」
という態度をしっかりあらわすことが
挨拶の基本だと思っている。
それは、ビジネスだって治療だって
教育だってすべて同じはずだ。

リーダーの考えはスタッフに伝染する。
気配りも「感染症」だ。


話かけたくなる、目立つスタッフが
多いお店。
店選びをハズさないコツかも。

死亡診断書


週末99歳の患者さんが亡くなった。
老衰だ。

直前まで意識はしっかりしていた。
寝たきりの時間も長かった。
瓜二つの娘もよく介護した。
みなが悔いなきお別れだった。

主治医としては
(もう少しできたのでは)
と思うのは常だが・・・

とにかく死亡診断書を書く必要がある。

ちょっと待て!
診療所を辞めたばかりだ。
診断書の用紙がない!
どこでもらえばいいのか?

本来区役所だが、今日は土曜日だ。
警察に問い合わせた。

「大きい病院でもらえばいいのでは?」

M病院に問い合わせた。
事情を説明して、一部だけ貸してほしい。
そう伝えた。

「担当の者がまだ出勤していない」

との返答だった。
死亡診断書の用紙を貸すか貸さないかを
判断する部署はこの世に存在しない。

病院はこんな感じだ。
病院に問い合わせるのは
あきらめることにした。

どうしようか?

明日から出張で、帰京するのは火曜日だ。
さすがにそこまでは無理だ。

たしか区役所は離婚届や婚姻届は
時間外でも受け付けているはず!


それを思い出して、とにかく向かった。
時間外の窓口で事情を説明した。
2部持ってきてくれた!
書きまちがい用に。

「暑い時期だからもうちょっと下さい」

こちらの意味不明な要求にも対応し、
さらに5部もってきてくれた。

在宅診療を始める上で
初歩的なミスだと反省。
周りの準備にいかに助けられてきたか
痛感した。

とにかくなんとか乗り切った。
好きなことをやっているのだから
すぐに上手くなるだろう。
50直前の転職!
「超楽観主義」でいくしかない。