交通事故は悲惨だ

加藤さんは79歳女性。
よくしゃべる元気な人だ。
色んなグループのリーダーを
引き受けている。

加藤さんは先日、自転車運転中に
タクシーと接触事故をした。
転倒し、右手を捻挫した。


タクシーの対応もまずかった。
保険屋の対応もまずかった。
整形外科医の対応もまずかった。
痛みが一向に引かない。

外来で愚痴を延々と聴かされた。
「災難でしたね。でも打撲だから
時間ぐすり。それで済んでよかった」

この程度の励ましが精一杯だ。

加藤さんのグループの人も
大勢当院に来ている。
加藤さんのリーダーシップに
負うところは大きい。

佐伯さんはグループの一員。
来院したときに
「加藤さん大変やったですね」
と言ってみた。

すると
「どうせ話長かったんでしょ。
何で手だったんだろう?
口の骨折ればよかったのに
ってみんなで悪口言ってるの」

と大笑いしていた。

強烈な悪口だ…
もちろん加藤さんの目の前で…

加藤さんは、自らの「受難」を、
大げさに話し、皆から、悪口を
ツッコまれることで乗り越えた。

「下町にうつ病はいない」
研修医の頃、教えられた格言だ。
もちろん例外はある。
しかし、少ないと感じるし、
実際なんとかなっている。

「失敗」や「ブルース」を
軽症のうちに皆で笑い飛ばす。

落語に学ぶことは実に多い。