ナガルコットその1

大晦日、国外へ脱出した。
逃亡先はネパール。
母親と二人っきりは人生初だ。


計画を立てたのは8月。
体調があまりすぐれない母を
励ましに帰阪した。

「関空からネパールへの
直行便ができたみたいやで」

思ったより元気そうだった母が
言った。

「ほな年末行こか?」
反射的に答えてしまった。
まさに後悔先に立たず。
色々と段取りし、決定となった。

目的は初日の出とヒマラヤの景色。
空港で予約していたタクシーと
別のに乗せられるという
変なトラブルの詳細は後日記す。

なんだかんだありながら
到着したのは現地時刻22時。
まずは年越しそば。
パンパンの「そばどん兵衛」…
さすがに標高2100mの気圧だ。


親子向かい合わせですする。
山の上なのに意外に暖かい。
ベランダで食すどん兵衛。
人生で最も美味いどん兵衛。

3時間15分の時差のある日本は
もう年が明けたようだ。
機内ではほとんど寝なかったが、
不思議と眠気が来ない。

本を読みながら過ごしていると
隣のベッドの母のイビキ。
母のイビキを子守唄にいつしか
眠りに落ちたのだった。

初日はこんな感じ。