祝!コロナ陽性!


「発熱患者を診てくれないんですよ」
看護師から軽く苦情がきた。
自分が在宅診療で廻っている間に
パートで来ている女医さんだ。

パート先で感染リスクを背負いたくない。
大学からもパート先で感染しないよう
指導されているから仕方がない。

雇用契約は昨年末。
コロナ蔓延は勤務が始まってからだ。
気持ちはわかる。
しかし、当院は「コロナ疑い」を
診察すると決めてしまった。

朝のミーティングで不意打ち気味に
女医さんに言った。

「先生、診てもらえない?
ちゃんと防護衣着てね。何かあったら
僕がフォローするから」


女医さんの顔は強ばっていた。
スネられるて辞められる可能性もある。
あきらかに不本意な表情のまま
女医さんはうなずいた。

そして翌々週彼女は引いた・・・

たった数例しか診察しないうちに
コロナ陽性患者を。
こっちは何十例診ているがなかなか
出くわさない。

翌週女医さんに結果を伝えた。

「おめでとう!陽性やったわ」
「ホントですか!?」
「なかなか当り引かへんで!
病初期を診ている医者は少ないで。
この経験は大きいよ、おめでとう!」


女医さんは喜びで上気していた。
これでこそ医者だ!
女医さんは一皮むけた。
若い患者は順調に回復している。
万事良好だ。

患者を診ないことには学べない。
不謹慎かも知れないが、医師の
経験はすべて患者さんのためだ。

手ぐすね引いて待ってる医師には
なかなかコロナが来てくれないが・・・

巣にこもってなにを?


ウチの子はよく本を読む。
正確に言うと「眺めている」のだと
思うが、本をよく手にしている。
とくに分厚くて装丁のしっかりした
本を好む。

ふたりとも通学中も読んでいる。
と言っても、妻の自転車の座席だが。

2歳の息子が絵本を読んでいて、
歩行中のオバサンに驚かれた。
オバサンにホメられて発した声が
言語のていでないから再び驚かれた。

テレビがないからだと思う。
うちの家族にとって、
本は最も大切な娯楽の一つだ。

在宅診療中、患者宅でテレビを目にする。
画面上の違和感に思わずのけぞった。
フェイスシールドをしたままのロケ。
リモート出演の時間差。
出演者同士の遠い距離。

人間の慣れとは恐ろしいもので、
在宅患者さんは教育済みだ。
徐々に段階を踏んでこうなったからか?

全世界でテレビが以前より売れている。
ネットフリックスの会員は2億人に
迫っているそうだ。

これも「巣ごもり特需」なのか。

しかしテレビにもはや夢はない。
フェイスシールドしてる芸能人は
もはやスターではない。
確かにカネのかからない番組作りだ。
ギャラの安い出演者なのだろう。

昔のテレビの中の喫煙シーンが
今では新鮮に感じる。
いつかフェイスシールドをしていない
テレビに新鮮さを感じるのかな?


テレビという箱(今は板か?)は
夢を与えるものではなくなった。
テレビのないウチの家族には
もともと無関係だが。

話は変わるが、昨日往診中、
知らない人に声をかけられた。
「テレビで観ました!ご自愛下さい!」

テレビの中の自分は人に
心配をかけているようだ。

大丈夫ですよ!

メモの効能


吉田さんは88歳女性。
在宅診療の患者さんだ。
娘夫婦と同居している。
往診時、娘は仕事で不在。
書き置きの手紙があった。

「先週下痢してたんですか?」
「ええ」


元気そうにシュウマイを食べている。

「朝からシュウマイ?」
「ええ」


朝からシュウマイは驚きだ。
いや、小麦で巻いたひき肉?

ソーセージマフィン!

「朝マックですね」
「ええ」
「吉田さん女学校出てる?」
「ええ」
「インテリやもんね。エエとこの子?」
「そんなことないですよ」


それからお父さんの話で盛り上がった。
お父さんはオシャレな人だったそうだ。
その時代オシャレだったお父さん。

「大好きだったんですね」
「大好きでした」


オシャレで音楽好きだったお父さん。
その娘だから朝マックも理解できる。

書き置きをすっかり忘れていた・・・