2回戦突破を目指して


「うちは一回戦しか来ない店だから」
山本さん(66歳)は浅草で長年、
居酒屋を経営している。
「一回戦」とは「一軒目」という意味だ。
他の店で酔った若い客はリスキーだ。

「若い子が来ると常連が帰るのよ」
スナックママの佐藤さん(79歳)は嘆く。
スナックで歌って騒ぐのはもっぱら
ヒマな若者。

若者がコロナを媒介している。
そういう風評があるものだから、
年寄りは若者が来ると退散する。
会社の飲み会も自粛だらけだ。

良くも悪くも日本は「酒文化」だ。
酒の席で先輩から説教され、教わる。
そういう機会がなくなる。
世代間の分断はますます進むだろう。

先週末帰省した。
東京の医者の帰省は地方には迷惑かも
しれないが、帰省先は大阪だ。
みな1週間前に風邪を引き終わり、
PCR検査も確認済みだ。

数カ月ぶりに孫と再開する母親の
喜びようはなかった。
別れ際に孫から順番にハグされる
母親の嬉しそうな顔。

この景色が当たり前になるように
なんとか手を打とう。

マスクもほどほどに


夏の屋外でのマスク着用の
リスクを各地で訴えている。
https://www.facebook.com/fumiue.harada/posts/2914489742013348?notif_id=1596420562883333&notif_t=feedback_reaction_generic&ref=notif
高齢患者さんが退出する際、声かけを
スタッフにも指導している。

一昨年、熱中症で1800人亡くなった。
梅雨明けの猛暑ですでに死者も出ている。
紫外線や高温多湿に弱いコロナが屋外で
感染する確率は限りなくゼロに近い。

ましてや人も出ていない夏の路上だ。

注意すべきは「熱中症」だ。
マスク着用で1400メートルの
高山トレーニングになる。
心肺機能にも悪影響だ。

平田さん(84歳女性)を見かけた。
手押し車を使って歩いている。
口元にはもちろんマスクだ。

「マスクしない方がいいよ」
「しなくていいんですか?」
「この暑さじゃ熱中症の方が怖いよ」


平田さんはマスクを外そうとしたが、
何となくためらっている様子だ。
ダメ押しを伝え、お別れをした。

(大丈夫かな・・・)

振り返ったが、マスクを外して
いなさそうな雰囲気だった。

人通りが少ない路上の上、炎天下。
それでも人の目が気になるのか?
高齢女性は、空気を読んで生きる。

翌日外来受診してきた平田さん。
「昨日はどうも」
「マスク外してなかったでしょ?」

本人に訊いてみた。

「昨日入れ歯してなかったのよね」
と恥ずかしそうに笑っていた。

盲点だった。
マスク下が無防備になっていることに・・・

口紅の売れ行きがよくないそうだ。
そういえば昼間から餃子を食べる人が
増えている(個人的調査)。

これもニューノーマル?

さよなら


「今月いっぱいで辞めるんですよ」
「あら残念。せっかく慣れてきたのに」
と残念がってくれる佐々さん87歳。

12年間定期的に受診しているのだが・・・

「今月もっかい来るわ」
不要不急の受診を宣言する患者さんも
たくさんいる。

涙を流す患者さんもいる。
(この人が泣くの?)
ドライなタイプだと思っていた人に
案外泣かれる。

逆に熱いタイプと思っていた人が
「次の先生、どんな人?」
と「別れたら次の人」タイプだったり、
それも面白い。

小声で
「次決まったら連絡して」
と名刺を渡されることも。

一般外来も発熱外来も盛況だ。
発熱外来を始めた当初、風評被害も
あった。
スタッフだけでなく、患者さんも
訓練された。


去っていくリーダーにも関わらず
士気が下がることなく一生懸命
やってくれるスタッフには頭が下がる。

発するすべての言葉を「遺書」のように、
「遺言」のように大切にしていこう。