
佐藤さん(68歳)は大工さんだ。
行きつけの銭湯でたまに会う。
「風呂行ってます?」
「最近水風呂がぬるいんだよ」
故障中だそうだ。
「佐藤さん水風呂好きやもんね。
サウナの喜び半減やね」
「いや。今はカネ払ってまで
サウナに入る気しない」
日中最低4回、着替えるそうだ。
酷暑に大工仕事は火焔地獄に近い。
「マスクなんて無理だよ」
佐藤さんは吐き捨てるようにつぶやいた。
そういえば、業種別マスクの取り扱い
など何も指導アナウンスがない。
こちらは冷房の効いた部屋で気楽な身分だ。
佐藤さんは日中天然サウナで過ごし、
水風呂を求めて銭湯に行く。
水風呂故障は
“Oh, My God!!”
の世界だろう。
炎天下肉体労働を避けられない人たち。
往診中、一服している彼らの姿を見かける。
誇らしい「男」の顔をしている。
コロナ下、取り沙汰されるリモートワーク
は自宅で巣ごもり。
宇宙人はどちらを人間と認定するかな?