サウナ状態


佐藤さん(68歳)は大工さんだ。
行きつけの銭湯でたまに会う。

「風呂行ってます?」
「最近水風呂がぬるいんだよ」

故障中だそうだ。

「佐藤さん水風呂好きやもんね。
サウナの喜び半減やね」
「いや。今はカネ払ってまで
サウナに入る気しない」


日中最低4回、着替えるそうだ。
酷暑に大工仕事は火焔地獄に近い。

「マスクなんて無理だよ」
佐藤さんは吐き捨てるようにつぶやいた。

そういえば、業種別マスクの取り扱い
など何も指導アナウンスがない。
こちらは冷房の効いた部屋で気楽な身分だ。
佐藤さんは日中天然サウナで過ごし、
水風呂を求めて銭湯に行く。

水風呂故障は 
“Oh, My God!!” 
の世界だろう。


炎天下肉体労働を避けられない人たち。
往診中、一服している彼らの姿を見かける。
誇らしい「男」の顔をしている。
コロナ下、取り沙汰されるリモートワーク
は自宅で巣ごもり。

宇宙人はどちらを人間と認定するかな?

恥ずかしい話


何年ぶりかのギックリ腰を味わった。

2日前、プチ引っ越しをした。
12年以上過ごした診療所なので、
私物も大量にある。

これまで10回以上引っ越している。
ベテランとして語らせてもらうと、
引っ越しはダラダラやると辛い。
一気にやってしまうにかぎる!


決戦当日。
早朝4時から荷造りを始めた。
未練も感傷も捨て去り、粛々と。

6時前に無事終了、さあ運ぶぞ。
一個目の箱で腰に来た!

やってもうた~

一応プロなので応急処置リストは
頭に浮かぶ。
増悪させないよう伸展させる。
しかし、目の前の荷物が虚しい。

そのとき、人の声が聞こえた。
定期清掃のお兄さんだ。

「おはようございます。
どうしたんですか!?」
「腰やってしもてん」


箱に囲まれ、膝で立っている自分を
見て、すぐに察したようだ。

「手伝いましょうか?」
「それは悪いよ」
「良いですよ、手伝いますよ」


パートナーと二人がかりで
運んでくれた。
ほんの数分で完了。

助かった・・・

「先生いなくなるの寂しいですね。
いつも色々教えてもらってたから」

逆に感謝された。

新聞を取りに行くときによく会話を
交わしていた。
コロナの現状解説や、体調の相談に
乗ったりしていたようだ。

助けてもらったから言うわけでは
ないが、やはり雑談は大切だ。

お礼に、うちのビルに定期清掃に
入ってもらう約束をした。

この事件は一昨日早朝の出来事。
翌々日の本朝、腰は治っている。
非常に治りが早いと実感している。
本来腰帯などをすべきなのだが、
なんとなく使わずにやってみた。

結論
やはり安静にしないのが一番だ。

あくまでも個人的意見・・・

令和の喫茶店


浅草で「雰囲気」な喫茶店に入った。
座った途端に店員がかけ寄って来た。
直ちに、非接触型体温計をオデコへ。

「ピッ」
37.5度だった・・・


顔色が変わる店員。

「ちょっと待って」
と余裕を見せつつ、冷たいおしほりで
広いおでこを拭く。

「もっかい測って」
「あピッ」
36.5度


安堵の表情を浮かべた店員は
「さすがです」
と意味不明の言葉を発した。

非接触型は顔の温度が上昇しにくい
人の場合、アテにならない。
逆に暑い中を歩いてきて、発汗が
少ない段階なら上がってしまう。
汗による「打ち水」効果がない
ままだからだ。


涼しいタクシーを降りて、5分ほど
炎天下を歩いたところだった。
最も高く出る状況だったと思われる。

この検温に意味があるのか?
まあ「やってる感」を出さないと
いけないし、やむを得ない。

入店時に検温され、タバコを
吸わさない喫茶店。

それが「令和時代の喫茶店」の
ニューノーマルなのだろう。