
「リズムが下手になりました」
秋葉さん(58歳)は脳梗塞をやった。
非常に軽症だったので麻痺はほぼない。
会社経営者でギターを弾く。
ソウルバンドのリズムギター担当だ。
マニアックな話で外来は脱線しがち。
秋葉さんに言った。
「脳が上手くなったのでは?」
「はあ?」
「前まで気づかなかったことが
気づくようになったのでは?」
昔よりジミヘンのギターが上手く
なっている、という体験を話した。
故人であるジミヘンの技術が
向上するはずがない。
聴き手であるこちらに、ジミヘンの
微細な技術を見る「眼」ができた
ということだ。
そんな話をしたら、さすが秋葉さん
「わかるわ~」
とニヤリ。
秋葉さんのギターを聴いたことはないが・・・
神経は「変化」にしか反応しない。
「不変」を感知しない。
不変はエネルギーを消費を節約できるから、
脳が喜ぶ。
安定志向に走る「由来」だ。
軽症だったので幸い、外見上麻痺はない。
しかし微細な脳細胞の変化はあるはず。
「時間」の捉え方に影響があったのかも。
脳梗塞のお陰で、病前捉えきれなかった
「タイム感」に敏感になった。
そう考えれば面白いではないか!
退室間際に、
「バイクの免許取ることにしました!」
秋葉さんは、新たな決意を語った。
高校時代に無免許で事故し捕まったらしい。
「こころ」が不良なら「病」は治る!