スリル中毒

電車に乗るのが怖い。
途中で降りてしまう。
仕事に行けない日が続く。

そういう悩みが続いた。
二人とも40代既婚男性。

簡単に「うつ病」に逃げたくはない。
そうだとしても、初期なので
それなりに助言をした。

「おばけ怖い?」
「はい?」
「子供っておばけ怖がるよね?
まだおばけ怖い?」
「それと一緒ってことですか?」

違うかもしれない、それとは。
だけど克服しなければならない。

仕事行かなきゃ。でしょ?

「怖い」と発するとアホになる。
前頭葉が機能しなくなるからだ。
但し、ゴチャゴチャ考えずに
逃げるのが必要な状況もある。
「怖い」を失うと早死にする。
「怖い」は必要な「本能」なのだ。

だから、よく考えるべきだ。
「怖い」が適切かどうか?
おばけがいるのかどうか?

克服しなければならないことは
人生に多々ある。
そしてたくさん克服してきたはず。
自転車に乗る、に始まり、人前で
発表したり、危険な目に遭ったり、
子供が産まれたり…

出産する女性も絶対に「怖い」はず。
でも逃げられないし、克服する。

「電車が怖い」は幻想だ。
「怖い」という言葉さえいらない。
自分で作った妄想は自己責任。
幻想は「娯楽」にすべきだ。
毎日がジェットコースターだ。
かなりの高確率で「無事」が
保証されているのだから。

毎日チャレンジするのも悪くない。
記憶に残る日々を送れるはず。

心療内科ではないのでこの辺で…

長生き玉子

健康長寿の患者さんに
「何を食べているんですか?」
と尋ねる。

実に千差万別だ。
「何でも食べる」という人もいるが、
「〇〇は絶対に食べない」という人が

意外と多い。

神田さん(95歳)は納豆を絶対に
食べないそうだ。
ただし玉子のこだわりはすごい。
神田さん御用達の玉子店を
紹介してもらった。
確かに美味しい玉子だった。
神田さんの健康長寿の源と知ると

ご利益があるような気がする。

世間の健康情報など気にせず
「これがいい!」と確信を持つ方が

いいのかもしれない。

吉田さんは84歳の女性。

最近胃の調子が悪い。

「クルミが原因だと思うの」
「クルミ?」
「テレビで言ってたのよ、良いって」
「クルミってリスの食べ物でしょ?
リスの上前はねたらあきませんよ」

「罰当たったのかな」

医師の立場から言わせてもらう。
いくら情報番組の宣伝が魅力的でも、
80歳を超えて、不慣れな食べ物に

挑戦するのはオススメしない。

自分の体で人体実験しているの

だから文句はないのだけれど…

ヒトの食に対するチャレンジ精神は
呆れるほどだ。

他の動物界ではあり得ないことだ。
リスも納豆は絶対に食べないはず…

自己犠牲というDNA


ハサミムシの雌は卵を守るために

ハサミを使って外敵を追い払う。

虫の世界では珍しいことらしい。
産みっぱなしがほとんどだからだ。

ハサミムシの母親は
産まれたての赤ちゃんたちに
自分の体を食べさせるそうだ。
食べさせている間も、外敵が来ると

ハサミを振り回して追い払うそうだ。

不覚にも泣いてしまった(今も少し)。

これを「愛」などと解釈するのは人間だ。

DNAに書き込まれている本能なのだ。

考えてみた。

ハサミムシから人間をみたとき、
泣けるエピソードはあるだろうか?

人間のお母さんの行動を見てみる。

安定の悪い二輪車に乗って、
鉄の塊の四輪の隙間をかいくぐり、
食糧を調達する。
刃物を使って、恐ろしい火を使って…

すべては家族のために…

その光景を見たらハサミムシも

涙を流すかもしれない。

主婦だけではない。

お父さんも見てみよう。

もみくちゃにされて
低酸素の電車に乗って出勤。
仕事が終わると、自傷行為と思える
冷たい飲み物で内蔵を冷やす。

なかば強制的にアホになる…

そして、お父さんもお母さんも、

血液と比喩されるおカネを払う。

自己犠牲の精神は虫のそれと比べて

遜色ないのでは?

虫と違うのは、本能ではなく、
すべて教育の成果だという点である。